企業防衛を目的として生命保険に加入する場合の、以下の2点がポイントとなります。
@1つの保険会社でまとめて加入するのではなく、複数社で複数本加入する。
A必ず「標準保障額」を算出して、その保険金額に係る保険料と資金繰りのバランスを考慮して加入する。
@1つの保険会社でまとめて加入するのではなく、複数社で複数本加入する。
<例えば・・・>
A社長が事業保障のため、生命保険加入を検討し、結果1億5,000万円の定期保険に加入を決定。
この場合、
○D社1社でまとめて1億5,000万円加入する
○D社を含む3社で各5,000万円加入する
のどちらが今後の経営上有効に生命保険を活用できるのでしょうか?
答えは後者になると思われます。
例えば将来、組織再編(会社分割や子会社設立)を行った場合、その新会社での役員保障や退職金準備が必要となりますが、その際、健康上問題があれば、新たに生命保険には加入できません。
生命保険は被保険者以外は変更可能ですので、たとえば『契約者変更』をすれば、新会社が契約者になることも可能なのです。
しかしながら、昨今の状況は生命保険加入段階での『入口』は重要視されている一方、加入後の状況変化に対応できるような契約形態やフォロー体制になっていないケースも見受けられます。
このような状況にならないためにも、常に『出口』も考えて加入しなければなりません。
また、3社に分けておくことで、万が一加入保険会社が破綻等になった場合のリスク回避にもなります。
A必ず「標準保障額」を算出して、その保険金額に係る保険料と資金繰りのバランスを考慮して加入する。
標準保障額とは、経営者や経営幹部に万一の場合、企業が被る経済的損失を算出したものです。
標準保障額=役員退職慰労金+企業防衛準備資金
| 役員退職慰労金 |
(1) 役員退職慰労金
役員の勇退時に支払われる「生存退職金」または、「死亡退職金」を準備します。
役員退職慰労金=役員最終報酬月額×在任年数(*1)×功績倍率(*2) *1 役員就任から現在までの経過年数
*2 功績倍率とは、果たしてきた責任の重さに対しての倍率
【例】 社長:3.2倍、専務:2.6倍、常務:2.3倍、取締役・監査役:2.0倍
功績倍率は各社各様です。詳しくは顧問税理士にご確認下さい。
(2) 功労加算金
社長など、会社発展に特に功労があった場合の加算金額です。
功労加算金=役員退職慰労金×10〜30%(功労加算率)
(3) 弔慰金
死亡退職金とは別枠で「弔慰金」が支払われる場合もあります。 業務上の死亡の場合は報酬月額の36か月分、それ以外の場合は6か月分です。
弔慰金=報酬月額×6か月分もしくは36か月分
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| 企業防衛準備金 |
(1) 借入金返済資金
経営者が万が一の場合に備え、借入金相当額の返済割合を準備します。
借入金相当額=(銀行等からの外部借入金)+(支払債務)×1.67
(2) 運転資金 従業員の給料等、会社継続に関わるその他の固定費を準備します。
運転資金=月額固定費×3か月分〜6か月分
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<例えば・・・>
売上5億円、借入金相当額1億円、運転資金月額2,000万円の製造業A社におけるA社長(役員報酬:月額100万円、在任年数:30年)の場合、A社の標準保障額とは?
役員退職慰労金・・・・・12,120万円(下記1.2.3の合計金額)
(1) 役員退職慰労金 100万円×30年×3.2倍(社長)=9,600万円
(2) 功労加算金 9,600万円×20%=1,920万円
(3) 弔慰金 100万円×6か月=600万円
企業防衛準備資金・・・・・22,700万円(下記1.2の合計金額)
(1) 借入金相当額 1億円×1.67倍=16,700万円
(2) 運転資金 2,000万円×3か月=6,000万円
標準保障額=12,120万円+22,700万円=34,820万円
上記の数値は、標準保障額としての原則的な保険金額です。重要なことは、言うまでもなく企業存続です。
多額の生命保険に加入して、資金繰りを悪化させるようなことにならないように、必ず標準保障額を毎期毎に算出しなおしましょう。
しかし、金融機関等からの外部借入がある場合は、最低でも借入相当額については生命保険で準備する必要があります。
標準保障額は毎期ごと、必ず算出する!
生命保険に加入する際は、資金繰りとバランスを考えて!
優先順位はまず企業防衛準備資金!
生命保険加入時には、1社契約ではなく、複数社複数本契約が基本!